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利用したHashiCorpの製品

AEONカスタマーストーリー

IaCDevSecOpsな基盤構築を実現、エンジニアスキルの壁もResident Serviceで突破

イオングループのデジタルシフトを担うイオンスマートテクノロジー(AST)は、日々プロダクトが増える開発環境を支えるため、IaCとシークレット管理の標準化に着手。HCP TerraformとHCP Vaultで、運用負荷とリスクを軽減したほか、HashiCorpのResident Serviceによる伴走支援で、Terraformのポリシー設計の難所に立ち向かっています。

  • イオングループのデジタルシフトを推進
  • iAEONアプリ累計ダウンロード2000万突破
  • Azure環境をIaCで標準化
  • SaaSで実行環境の運用負荷を軽減
  • シークレットの一元管理と安全な運用
  • Resident Service でTerraformにおけるポリシー設計の難所を突破

AEON

イオンスマートテクノロジー株式会社(本社:千葉県千葉市美浜区、代表取締役社長:太田 卓也)は、イオングループのデジタルシフトを推進する企業として2020年10月に設立。グループの共通プラットフォーム「iAEON(アイイオン)」アプリの開発・運用ほか、従業員向けの各種システム開発などを担う。iAEONアプリは2025年12月に累計ダウンロード数2000万を突破し、グループの主要なデジタル接点として成長している。

巨大組織であるイオングループで、デジタルシフトの中核を担う

イオングループは「お客様を原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する」という基本理念のもと、小売、デベロッパー、金融、サービスなど約300社の関連企業が有機的に連携して事業を展開しています。総合スーパーのイオン、ショッピングセンターのイオンモールやイオンタウン、地域密着型のマックスバリュやマルエツ、ドラッグストアのウエルシア、イオン銀行など、日常生活のさまざまな場面にイオンは溶けこんでいます。店舗数は国内外で約1万8000店舗、連結営業収益は10兆円を超える規模です。

イオンスマートテクノロジー(以下、AST)は、グループ全体のデジタルシフトを推進する企業として2020年に設立されました。iAEON(アイイオン)アプリをはじめ、従業員向け各種システムまで、開発から運用までを一貫して担っています。なかでもiAEONアプリは、イオングループの店舗やサービスを共通IDでつなぐグループ横断のデジタルプラットフォームです。2021年のリリース以降、グループの主要なデジタル接点として急速に利用が拡大し、2025年12月には累計ダウンロード数が2000万を突破しました。新機能が次々と実装されるなど、日々進化と成長を続けています。

「iAEON」を少人数かつ急ピッチでローンチ、IaCを採用しコミュニティ版Terraform導入へ

会社設立直後から、ASTはiAEONのローンチに向けて急ピッチで準備を進める必要がありました。環境はMicrosoft Azureを中心にしているため、Azureポータルでの手動作業やAzure公式のデプロイ方式であるAzure Resource Manager (ARM)を活用する選択肢もありました(なお、当時のBicepの利用は初期段階)。しかし、当時のインフラ担当者は将来の内製化や標準化を見すえて手動構築ではなくIaCを使う方針を定め、まずはIaCのデファクトスタンダードであるコミュニティ版Terraformを導入しました。

それでもTerraformの実行環境を自前で構築・維持する必要があったこと、CI/CDを自前で構築する必要があること、命名規則が整備されておらずコードの可読性や品質に課題があったこと、さらにシークレット情報が分散しているなどの課題が残っていました。こうした状況から、ASTではTerraformの実行基盤やガバナンス、シークレット管理を強化する必要がありました。

AST DevSecOpsディビジョン SREチームに近年ジョインした林如弥氏は「先日、初期の手動構築が残っているところを見つけました。GUIでの作業だと、細かなパラメータを取りこぼしてしまうリスクがあります。実際に、開発チームの想定とは異なっていたことから、のちに修正が必要となるケースがありました」と話しています。

HCP TerraformとHCP Vaultで運用基盤を標準化し、開発効率と安全性を向上

こうした課題を解消し、Terraformとシークレット管理を安全かつ効率的に運用するために、ASTは2022年4月にHCP Terraform、2023年8月にHCP Vaultを導入しました。

AST DevSecOpsディビジョンでディレクターを務める齋藤光氏は「導入後は、Terraformの実行環境のことを考えずに済み、かつHCPのプラットフォームで標準化されているパイプラインや機能を利用すれば、私たちが“車輪の再発明”のように一から再作成することなく、HashiCorpのベストプラクティスをそのまま利用できる点が非常に助かっています。そのおかげで、私たちはビジネスで価値を生むコードに集中できます」と断言します。

ASTでは、日々プロダクトが増え続けるなかHCP Terraformでコードの再利用性が向上し、またPlan(計画)画面の差分可視化機能で安心して変更作業がしやすくなりました。また、実際のインフラの状態がルールやIaCのコードと乖離しているかを検知する「ドリフト検知」と呼ばれる機能も、現場では役に立っています。

また、HCP Vaultを導入することで、これまで分散していたシークレットの一元管理が実現しました。今では、パスワードをVaultから安全に取得する体制を整えています。HCP Terraformと同様に、クラスタ管理やアップデートといった運用負荷も軽減でき、シークレット管理の基盤として安定して利用できています。

くわえて、HashiCorp製品を導入していることがエンジニア採用にも好影響を与えています。林氏は「私は前職ではAWSクラウドをTerraformでIaC管理してきました。ASTへの転職を考えた際にAzureクラウドがメインであることに不安を覚えた部分もありましたが、Terraformを活用していると聞いて、一歩を踏み出すことができました」と話しています。HashiCorpの“マルチクラウドで運用可能”というアプローチが、林氏にとってこれまで培ったHashiCorpのスキルや知識が活かせる安心感につながり、Azureという新しい領域へ踏み出す後押しになったのです。

伴走型支援で運用の難所に立ち向かう、より高度なDevSecOps基盤へ

ASTでは、Terraformの活用においてセキュリティ担保の必要性を感じ、ポリシー制御を実現すべくフレームワーク「Sentinel」などの利用を検討していましたが、学習コストの高さに課題を感じていました。

そこで、ASTでは2025年8月から、Terraformの活用深化のためにHashiCorp Resident Serviceを活用しています。これはHashiCorpのエンジニアが定期的に顧客の現場に入り、スキルトランスファーを行うサービスです。Terraformコードのリファクタリングやポリシー設計などの取り組みにHashiCorpエンジニアが伴走することで、より高度なDevSecOps基盤の構築を進めている最中です。

HCP Terraform、HCP Vault、Resident Serviceを採用して得られた成果:

  • Terraform実行環境の自前運用が不要になり、インフラ構築負荷が軽減
  • シークレットの一元管理と安全な運用を実現
  • 伴走型支援により、Terraformのポリシー設計に着手
  • HashiCorp製品を導入していることがエンジニア採用にも好影響

今後はエンジニア全員がTerraformコードを書ける世界に

現在は、Resident Serviceを活用しながら、Azureのセキュリティグループと連携した権限管理の強化やデータ暗号化、シークレットの高度な運用に向けた検証・準備を進めています。齋藤氏は「パスワードが静的で、どこかに保存して使い回すことはリスクであり、必要に応じて動的に資格情報を発行して自動で消すことが理想的です。これこそが、Vaultの真骨頂です」と語り、より安全で自動化された運用に向けた取り組みを進めています。

林氏も「現在はTerraformコードを書くのは基本的にSREチームのメンバーですが、今後は各プロダクトの開発者が自分たちでリソースを管理できる状態を、TerraformやSentinelを活用しながら目指していきたいです」と話し、さらなる普及と内製化に向けた意欲を示しました。

ソリューション:

HCP TerraformとHCP VaultでIaCとシークレット管理を標準化し、運用負荷とリスクを軽減。Resident Serviceによる伴走支援でTerraform のポリシー設計とVault運用の難所に立ち向かい、高度な運用へ前進。HashiCorp製品は、採用面でも安心材料となった。

担当者

  • 齋藤 光 氏 Developer Enablementディビジョン ディレクター イオンスマートテクノロジー株式会社

  • 林 如弥 氏 Developer Enablementディビジョン SREユニット イオンスマートテクノロジー株式会社

  • 岩崎 隆至 氏 Developer Enablementディビジョン SREユニット イオンスマートテクノロジー株式会社

  • 川田 雅彦 氏 Developer Enablementディビジョン SREユニット イオンスマートテクノロジー株式会社

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