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利用したHashiCorpの製品

AisinAisinカスタマーストーリー

グローバルサプライヤーがHCP Terraformを採用 長期的な視点でコミュニティ版からの移行を決断

自動車の電動化、カーボンニュートラル、ソフトウェアファーストを重点経営課題に掲げているアイシンでは、位置情報活用プラットフォームでHCP Terraformを活用し、インフラ環境構築の効率化や一貫性を実現しています。

  • 自動車部品サプライヤー売上収益が世界トップ10
  • クルマの電動化でカーボンニュートラルへ
  • 位置情報活用プラットフォームとグループ共通クラウド基盤でTerraformを活用
  • IaCで環境構築業務の高速化、品質の均一化、ミス削減
  • HCP Terraformにより、Terraform自体の運用管理を最適化
  • 新チームメンバーはTerraformコードでクラウドを学ぶ

Aisin

株式会社アイシン(本社:愛知県刈谷市、取締役社長:吉田守孝)は1965年設立。パワートレイン(駆動装置)を中心にブレーキや車体など自動車の部品全般を製造しており、自動車部品の売上収益では世界ランキングトップ10。近年ではコネクティッドソリューションやサービスや自動車に関するビッグデータ活用など新事業領域の拡大にも注力している。自動車の電動化と成長領域の両領域でDXを推進しており、「DX銘柄2024」に選定されるなどDXの取り組みが評価されている。

自動車部品製造の知見を活かし、移動の価値を創造

トヨタグループのアイシンは「“移動”に感動を、未来に笑顔を。」というビジョンを掲げ、強みとなる自動車部品製造では電動化でカーボンニュートラルを目指すことや、これまで培ってきた技術やノウハウを活かして移動の安心安全を充実させることに注力しています。また事業ポートフォリオを従来からの自動車部品製造に加え、データ活用など新事業領域も拡大させることで「アイシンのフルモデルチェンジ」を目指しています。

自動車部品製造領域と新事業領域の両方でDX施策を推進するなか、欠かせないのがクラウド活用です。アイシンではCCoE(クラウド活用推進組織)を新設し、クラウド活用を促進するための施策を幅広く手がけています。たとえば、ユーザーの悩み相談やナレッジ共有するためのコミュニティ運営、全社共通クラウド基盤の構築、人材育成、セキュリティガイドライン策定などです。

作業効率と環境の一貫性を実現すべくIaCを採用

アイシンが早くから取り組んでいるデータ活用施策に位置情報活用プラットフォーム「Tatami」があります。これはカーナビはじめ自動車に搭載された各種機器から収集した位置情報や車両情報などを収集・蓄積し、ビッグデータ分析することで各種サービスにつなげるためのプラットフォームです。たとえば、アイシンが提供する自治体向け道路補修支援サービス「みちログ」はTatamiを基盤としています。道路管理者や道路補修者に効率的に情報を共有するためのツールとして、デジタル庁の技術カタログにも掲載されました。

Tatamiはアマゾン ウェブ サービス(AWS)をベースに、早い段階からクラウドのプロビジョニングにはTerraformでIaC(Infrastructure as Code)を実践しています。アイシン DXプラットフォーム部 CCoE室長 兼 コネクテッドソリューション部 主幹の福元将高氏は「IaCなしにクラウドを手動で構築するなど『ありえない』と思うほどIaCが定着しています」と言います。2024年度に稼働開始する社内クラウド基盤でもTerraformが採用されています。

Terraformを採用した理由として、福元氏は「AWSではAWS CloudFormationがあるものの、TatamiはAWS以外のサードパーティーツールも使用しているためTerraformが有利と判断しました。またTerraformはIaCのデファクトスタンダードという安心感もありました」と説明します。なおアイシン全体で見るとAWS以外にMicrosoft Azureを使用するプロジェクトや部署もあるため、マルチクラウド環境でIaCツールを一元化することを考えるとTerraformがさらに優位となります。

福元氏はIaCを実践する意義として、プロビジョニングの効率化はもちろん「環境差異をなくしてシステムの品質を担保する」ことも指摘します。システムやアプリケーションごとに必要な環境は1つではなく、それぞれ開発環境、検証環境、本番環境を用意する必要があり、全てに一貫性を保つ必要があるからです。作業の効率化と環境に一貫性を保つためにも、コードから環境構築する習慣はとても重要になります。

またIaCのコードは新しくチームに加わるメンバーの学びにも役立っています。福元氏は次のように説明します。「新しいメンバーにはTatamiのIaCコードを読み解いてもらうことにしています。クラウドのGUI管理画面を見ればどのような構成になっているのか把握できますが、クラウドとTatamiを理解するにはIaCコードを読み解くのがとても有効です」。

当初Tatamiではオンプレミス環境でコミュニティ版のTerraformを使用していました。福元氏は「最初はよかったのですが」と言います。課題となったのがTerraformそのものの運用管理。オンプレの自主運用では、環境構築にはじまり、バージョンアップに追従するなど運用管理に付随する作業が必要になります。福元氏は「本当にこの構成や設定が最適なのかという疑問がありましたし、使いこなそうとするとサポートが必要な時もありました」と振り返ります。

課題

  • コミュニティ版の自主運用ではオンプレの環境準備から運用まで自社の責任となる
  • Terraformを運用する上で最適な構成や設定で使いたい
  • Terraformを使いこなすために頼れるサポートがほしい

こうしてアイシンではコミュニティ版からSaaS版にあたるHCP(HashiCorp Cloud Platform)へと移行することを決断しました。HCPはTerraformはじめHashiCorp製品をSaaSとして利用できるため、自社に環境を構築する手間やコストも、運用保守する必要もありません。

ソリューション

コミュニティ版からSaaS版のHCP Terraformへ

Terraformをコミュニティ版からHCPに移行することでTerraformの環境構築と運用保守から解放され、HashiCorpからサポートが得られたことに加え、コミュニティ版にはない機能も利用できるようになりました。

特に有益な機能だと福元氏が挙げるのが「Drift Detection」と、Sentinelの「Policy as Code」です。前者はTerraformのコードと実際に稼働しているクラウドのインフラを比較して、差異を検出します。一見必要ないと思えるかもしれませんが、現実的には運用に欠かせない機能となります。なぜならインフラをTerraformのコードで構築したとしても、長らく運用しているうちに何らかのきっかけで設定や構成が変わってしまったりすることがあるためです。しかしそれに気づくのは難しく、障害発生時には問題切り分けを難航させるリスクとなりえます。インフラがTerraformのコード通りの環境だと確認しておくことはガバナンス的にもセキュリティ的にも重要です。

後者は(SentinelのPolicy as Code)はポリシーの一貫性を保つのに有効な機能です。あらかじめ環境構築上のルールをSentinelで定義しておくと、違反があればTerraformが指摘するようになっています。

ビジネスの成果

「最初はコミュニティ版でもよかった。しかし運用保守にかかるコストや不安要素を削減し、品質を向上させ、さらに将来を見すえたらサポートも込みでHashiCorpにお任せするのが最善だと思った次第です。」

  • Terraformの環境構築や運用保守が不要に
  • Terraformを最新かつ最適な状態で利用できる
  • HashiCorpからのサポートが受けられる
  • コミュニティ版にはない高度な機能が利用できる

福元氏は「最初はコミュニティ版でもよかった。しかし運用保守にかかるコストや不安要素を削減し、品質を向上させ、さらに将来を見据えたらサポートも込みでHashiCorpにお任せするのが最善だと思った次第です。あとTerraform以外にもクラウド活用する上で有益なプロダクトがあるので興味があります。今後検討していきたいです」と話しています。

アイシンはAWSをベースとした位置情報活用プラットフォームTatamiでコミュニティ版のTerraformを自社運用していたところ、SaaS版となるHCP Terraformへと移行することでTerraformの運用保守にかかる労力を削減し、また最新かつ最適な状態で利用できるようになりました。またコミュニティ版にはない有益な機能も活用することでシステムの品質向上やガバナンスにも役立てています。

Aisin Partner

  • 福元 将高 氏 CCoE 兼 コネクティッドソリューション部 主幹 株式会社アイシン

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